子どもの性格はいつできる？科学からわかる子どもの個性と育て方

子育て中のママなら、こんな疑問を一度は考えたことがあるのではないでしょうか。子どもの性格がいつ、どうやってできるのかという疑問は、親として誰もが気になるところです。

結論からいうと、子どもの性格は一般的に3歳頃までに基礎が形成され、10歳頃までに基本的な部分が確立します。この性格形成は、生まれ持った気質（遺伝的要素）と環境の影響が組み合わさって進み、特に幼少期の環境が決定的な役割を果たします。

この記事では、子どもの性格がいつできるのか、何が影響するのかについて、科学的な視点からわかりやすく説明します。赤ちゃんから小学生までの子どもの性格の発達を理解することで、お子さんの個性を大切にしながら健やかな成長を手助けするヒントが得られるでしょう。

性格って何？生まれつきの「気質」との違い

そもそも「性格」とは何でしょうか？心理学では、性格は「その人らしい行動や反応の仕方」のことです。一方、「気質」は生まれつき持っている反応の傾向で、性格のもとになるものです。

赤ちゃんを見ていると、生まれてすぐの頃から「よく泣く子」「おっとりした子」「活発な子」など、それぞれ違いがあります。これが「気質」の違いで、性格の土台となる部分です。

気質は主に遺伝によって決まると考えられています。脳のつくりや働き方の違いが、赤ちゃんの時点での反応の差として表れるのです。

でも、この生まれ持った気質が、そのまま大人になってからの性格をすべて決めるわけではありません。気質は性格づくりの「土台」で、その上に環境や経験、周りの人との関わりを通じて「性格」が作られていくのです。

3歳までの重要期：性格の基礎が形成される時期

赤ちゃん期から3歳頃までは、性格の基礎が形成される非常に重要な時期です。研究によると、この時期の親子関係や環境が、子どもの性格に大きな影響を与えることがわかっています。

特に重要なのは以下の点です。

愛着関係の形成（0～2歳）

赤ちゃんとママ（または主な養育者）との「絆」の形成は、専門的には「愛着関係」と呼ばれ、性格形成の土台となります。子どもとママとの間の強い絆が、子どもの将来の人間関係や感情のコントロール能力の基礎になります。

赤ちゃんの欲求に敏感に応え、安心感を与える子育てが、安定した絆を築き、健やかな性格発達につながります。この時期に「人から愛されている」「自分は必要とされている」という実感を持つことが、健全な人格形成には欠かせません。

親の言葉の影響（特に3歳以降）

親の言葉は、子どもにとって一種の暗示のようなもので、特に3歳以降は価値観の基礎となるため、影響力が大きいとされています。「あなたはできる子」「大好きだよ」といった肯定的な言葉や、逆に「ダメな子」「迷惑」といった否定的な言葉は、子どもの自己イメージの形成に大きく影響します。

「イヤイヤ期」は大切な発達段階

「イヤイヤ期」として知られる2～3歳頃は、自分が独立した存在だと気づき始め、「自分でやる！」「イヤ！」という主張が強くなる時期です。この自己主張は、一人の人間としての意識の芽生えであり、性格形成において大切な一歩です。

3歳～10歳：基本的な性格が確立する時期

3歳から10歳頃までの時期は、基本的な性格が確立していく重要な時期です。この時期に形成された性格の特徴は、その後の人生においても比較的安定して持続すると考えられています。

幼児期（3～6歳）：社会性の基盤づくり

この時期は想像力や言葉の能力が発達し、他の人の気持ちを少しずつ理解し始めます。「自分から行動を起こす力」が育まれ、同時に社会のルールや他の人への気遣いも学んでいきます。

子どもの好奇心や探索を大切にしながらも、適切な範囲を示すバランスの取れた子育てが、健やかな性格発達を促します。子どもが失敗しても温かく見守り、必要なときにサポートする姿勢が大切です。

学童期（6～10歳）：「できた！」の積み重ねと友達との比較

小学生になると、学校という新しい環境の中でさまざまな課題に取り組み、いろいろな能力を身につけていきます。この時期の成功体験や失敗経験は、「自分はできる」という感覚や、新しいことに挑戦する姿勢に大きく影響します。

また、「良いこと・悪いこと」「公平・不公平」といった考え方も発達します。親だけでなく、先生や友達、メディアなどのさまざまな影響を受けながら、自分なりの価値観や考え方を形作っていきます。

10歳頃までに、性格の基本的な部分は確立され、その後は大きな変化が起こりにくくなると言われています。

性格形成に影響する要素：遺伝と環境のバランス

性格がどのように形成されるかについて、現代の科学では「遺伝と環境の相互作用」が重要だと考えられています。

遺伝的要素

性格形成をする要素の一つは遺伝的要素です。生まれつきの気質には遺伝的影響があると考えられており、これは性格の「素地」となる部分です。

環境要素

もう一つの要素は環境要素です。特に重要なのは

1. 家庭環境：親の養育態度、家族関係、しつけの方法など
2. 社会的経験：保育園・幼稚園・学校での経験、友達との関わりなど
3. 文化的背景：育つ地域や文化的な価値観

これらの要素が複雑に絡み合って、子どもの性格が形成されていきます。

遺伝と環境は相互に影響する

遺伝と環境は単純に足し算されるのではなく、お互いに影響し合います。例えば、生まれつき敏感な気質を持つ子どもでも、安心できる環境で育てば、その敏感さを創造性や思いやりとして発揮できるようになります。一方、同じ敏感な気質でも、不安定な環境では、不安や引きこもりといった形で表れる可能性もあります。

大人になってからの変化は可能？

10歳頃までに確立した基本的な性格は、その後も比較的安定していると言われていますが、これは「絶対に変わらない」ということではありません。大人になってからも、環境や経験、体験によっては性格が変わることはあります。

ただし、基本的な部分の変化には多くの時間と努力が必要です。例えば、生まれつき内向的な気質を持ち、幼少期にその特性が強化された場合、成人してから完全に外向的になることは難しいでしょう。しかし、状況に応じて外向的に振る舞うスキルを身につけることは十分可能です。

子どもの個性を大切にする子育てのために

子どもの性格形成を科学的に理解した上で、どのような子育てが望ましいのでしょうか。

気質を理解し、受け入れる

まず大切なのは、子どもの生まれ持った気質を理解し、それを「問題」として考えるのではなく、個性として受け入れることです。例えば、生まれつき慎重で新しい環境になじみにくい子どもを、無理に積極的にさせようとするのではなく、その子のペースを大切にしながら少しずつ経験を広げていくやり方が効果的です。

「愛されている」「必要とされている」実感を与える

子どもが安心して世界を探索し、自分の可能性を広げていくためには、「人から愛されている」「自分は必要とされている」という実感が非常に重要です。子どもが困ったときに頼れる存在、失敗しても無条件に受け入れてくれる存在であることで、子どもは安心して挑戦できるようになります。

適切な範囲と選択肢

子どもの自主性を育むためには、年齢に合った適切な範囲の中で、子ども自身が選択できる機会を与えることが大切です。すべてを決めてしまうのではなく、「赤いシャツと青いシャツ、どちらを着る？」といった選択を与えることで、自分で決める経験を積むことができます。

お手本としての親の姿

子どもは親の言葉よりも行動から多くを学びます。感情の表し方、困ったときの対処法、他の人との関わり方など、日常の中で親がどう振る舞うかが、子どもの性格形成に大きな影響を与えます。

まとめ：子どもの性格形成を理解する

子どもの性格は、生まれ持った気質をベースに、環境や人間関係、経験などの影響を受けながら形作られていきます。特に3歳頃までに基礎が形成され、10歳頃までに基本的な部分が確立すると考えられています。

幼少期の環境が性格形成に大きな影響を与えるため、愛情と信頼関係のもとで、子どもたちが安心して過ごせる環境を作ることが重要です。子どもの気質を理解し、その子に合った関わり方を探しながら、共に成長していければ素晴らしいですね。

子育ては正解のない旅ですが、子どもの性格形成についての知識を持つことで、その旅がより豊かなものになるでしょう。