子どもの心を支える「いろんな心のより所」をつくろう

「うちの子、最近元気がないような気がする」「もっと子どもが安心して過ごせる環境を作ってあげたい」そんな風に感じることはありませんか？

子どもにこそ、たくさんの心のより所が必要です。

大人でも一人では頑張れない時があるように、子どもにも安心できる場所や人、時間がたくさんあることで、のびのびと成長していけるのです。この記事では、なぜ子どもに心のより所が大切なのか、そしてどのように作っていけばよいのかをお話しします。読み終わる頃には、きっと「うちの子のためにこんなことをしてあげよう」という具体的なアイデアが見つかるはずです。

なぜ子どもには心のより所が必要なの？

子どもの心は、まるでスポンジのように柔らかく、周りの環境の影響を大きく受けます。楽しい時は全身で喜びを表現し、悲しい時は大きな声で泣く。そんな素直な気持ちを受け止めてくれる存在があることで、子どもは安心して感情を表現できるようになります。

心理学の分野では、子どもが健やかに成長するためには「安全基地」と呼ばれる心の支えが必要だと言われています。一つの支えだけに頼ると、その関係がうまくいかない時に大きな影響を受けてしまいます。だからこそ、いろいろな人や場所で安心感を得られることが大切なのです。

実際に、色々な場所で心を開ける子どもは、新しい環境にも積極的にチャレンジできる傾向があります。保育園で友達とケンカをした日でも、家に帰って家族に話を聞いてもらうことで、翌日は元気に登園していく。そんな回復力を持っている子どもは、複数の心の支えがあることが多いのです。

子どもの心のより所って具体的にどんなもの？

子どもの心のより所は、実に様々です。人だけでなく、場所や時間、お気に入りの物や好きな活動も、大切な支えになることがあります。

色々な人との関係を育む

家族はもちろん一番身近な心のより所ですが、それ以外にも子どもにとって特別な存在がいることで、心の安定につながります。

おじいちゃん・おばあちゃんには甘えられる、保育園の先生には頑張っている姿を見てもらえる、近所のおじさんは面白い話をしてくれる、お友達とは思いっきり遊べるなど、それぞれ違う関係性の中で、子どもは色々な自分を表現できます。

時には、家族でも先生でもない大人との関わりも、子どもにとって特別な存在になることがあります。ママには言いにくいちょっとした悩みを聞いてもらったり、普段は見せない一面を受け入れてもらったりする中で、子どもの心は安定していきます。

安心できる場所を持つ

子どもにとって物理的な環境も心のより所の一つです。自分の部屋やお気に入りの場所があることで、疲れた時や一人になりたい時に心を休めることができます。

それは必ずしも立派な子ども部屋である必要はありません。リビングの隅の小さなスペース、ベランダの植物の近く、図書館の静かな一角など、「ここにいると落ち着く」と感じられる場所があることが大切です。

感情を表現できる相手と時間

子どもは大人以上に感情の起伏が激しく、その気持ちをうまく言葉にできないことも多いものです。泣いても怒っても受け止めてもらえる相手がいることで、子どもは自分の感情と上手に付き合えるようになります。

嬉しい時には一緒に喜んでくれる人、悔しい時には話を聞いてくれる人、怖い時にはそばにいてくれる人など、様々な感情に寄り添ってくれる存在があることで、子どもの心は安定します。

夢中になれる活動や物

お気に入りのおもちゃ、好きな本、楽しい習い事なども、子どもの心のより所になります。集中して取り組める活動があることで、ストレスを発散したり、達成感を得たりすることができます。

絵を描くのが好きな子、ブロックで何かを作るのが好きな子、歌を歌うのが好きな子など、それぞれの子どもが持つ「これをしている時は幸せ」という時間を大切にしてあげることが重要です。

具体的にどうやって心のより所を作る？

子どもの気持ちに寄り添う時間を意識的に作る

忙しい毎日の中でも、子どもの話をじっくり聞く時間を作ってみてください。「今日はどんなことがあった？」「何が楽しかった？」など、子どもが自分の気持ちを表現できるような質問を投げかけることで、親子の信頼関係が深まります。

大切なのは、子どもが話している時には手を止めて、しっかりと目を見て聞くことです。たとえ5分でも、子どもにとっては「ママ（パパ）が自分だけを見てくれた特別な時間」として心に残ります。

色々な人との交流の機会を作る

核家族が多い現代では、意識的に子どもが色々な大人と関わる機会を作ることが大切です。実家や親戚との交流はもちろん、地域のイベントに参加したり、習い事を始めたりすることで、子どもの世界は広がります。

また、同年代の子どもとの関わりも重要です。保育園や幼稚園以外でも、公園や児童館、地域のサークルなどで自然な交流ができる環境を提供してあげましょう。

子どもだけの特別な空間を用意する

家の中に、子どもが「自分だけの場所」と感じられるスペースを作ってあげてください。それは個室である必要はなく、押し入れの中やテーブルの下、ベッドの上など、子どもが「ここは自分の場所」と思える空間があれば十分です。

そこにお気に入りのぬいぐるみや本を置いたり、子どもが描いた絵を飾ったりすることで、より特別感のある場所になります。

子どもの「好き」を大切にする

子どもが興味を示すことや夢中になることを、たとえ大人から見て意味がないように思えても大切にしてあげてください。石を集めるのが好きな子、虫を観察するのが好きな子、同じ本を何度も読みたがる子など、それぞれの「好き」が心の支えになります。

「どうしてそれが好きなの？」「もっと教えて」と興味を示すことで、子どもは自分の気持ちを大切にしてもらえていると感じます。

外部のサポートも視野に入れる

時には家族以外の専門的なサポートを受けることも、子どもの心のより所を増やすことにつながります。保育園や幼稚園の先生、習い事の講師、地域の子育て支援の方、そして信頼できるベビーシッターなど、子どもにとって安心できる大人が増えることで、より安定した心の基盤を作ることができます。

親とは違う視点で子どもと関わってくれる存在は、子どもにとって新鮮で貴重な経験となります。

心のより所を持つことで子どもに起こる変化

色々な心のより所を持つ子どもは、自己肯定感が高く、新しいことにもチャレンジしやすくなります。「困った時には助けてくれる人がいる」「自分は大切にされている」という安心感があることで、積極的に行動できるようになるのです。

また、色々な人との関わりの中で、相手の気持ちを思いやる力や、自分の気持ちを適切に表現する力も育ちます。これらの能力は、将来の人間関係を築く上でとても重要な基礎となります。

さらに、複数の心のより所があることで、一つの関係がうまくいかない時でも、他の支えがあることで立ち直りやすくなります。友達とケンカをした時には家族に慰めてもらい、家でイライラした時には好きな活動で気持ちを切り替えるなど、柔軟に対応できるようになるのです。

まとめ：子どもの心を豊かに育むために

子どもの心のより所を作ることは、一朝一夕にできることではありませんが、日々の小さな積み重ねが大きな違いを生みます。

まずは今日から、子どもの話をじっくり聞く時間を5分だけでも作ってみてください。子どもが夢中になっていることに一緒に興味を示してみてください。そして時には、家族以外の人との関わりの機会も意識的に作ってあげてください。

子どもが様々な場所で愛され、認められ、安心できる環境があることで、その子らしさがより輝いて見えるはずです。大切なのは完璧を目指すことではなく、子どもの心に寄り添い続けることです。きっと、子どもの笑顔がより輝く毎日が待っているはずです。